過払い金請求にデメリットはないのか解説します。

過払い金請求で払いすぎた利息を取り戻せる

過去に払いすぎた利息が発生していれば過払い金請求によって返還してもらうことができます。
本来支払う義務のないお金なので心当たりのある方は是非請求手続きを検討しましょう。

過払い金請求が可能となる条件

過払い金が発生している可能性があるのは以下の場合です。

  • 2010年(平成22年)6月17日以前に消費者金融やクレジットカードで借入を開始した方
  • 借金を完済してから10年以内の方

過払い金が発生する可能性が高いのは改正貸金業法の完全施行がされた2010年6月18日よりも前に借入をした方です。
とはいえ2010年6月17日以前に借入を開始した場合でも、元本が10万円未満で適用金利が20%だったというように、利息制限法の範囲内で融資を受けていたのであれば過払い金請求の対象者とならないことを理解しておきましょう。
また、グレーゾーン金利で貸付を行っていたのは消費者金融やクレジットカード会社のため、もともと法定金利を守っている銀行カードローンからの借入は過払い金が発生しません。

また、既に完済した借金であっても過払い金の返還請求をすることは可能で、過払い金の時効は最後に借入・返済をした日から10年となるため、借金を完済してから10年が経過していなければ過払い金を取り戻せる可能性があります。

過払い金請求は自分で行う、もしくは弁護士や司法書士に依頼する2通りの方法がありますが、過払い金請求の手続き手順はいずれも同じです。

  1. 貸金業者から取引履歴を取り寄せる
  2. 引き直し計算をする
  3. 過払い金返還請求書を作成して貸金業者に送る
  4. 和解もしくは裁判にて過払い金の返還が決定

自分でこれらの手続きを行う場合は、過払い金請求をする際の書類の準備や貸金業者との交渉が負担に感じる可能性が高いですし、引き直し計算を失敗すると過払い金が減ってしまったり過払い金請求を断られたりするリスクもあります。
一方、弁護士や司法書士に頼むと精神的にも楽ですし、強気な交渉をしてくれて過払い金が多くなる期待もできます。
また、家族に知られたくない場合にも弁護士や司法書士が間に入ってやり取りをしてくれるので、自宅に郵送物が届くことがなく家族にばれる心配はありません。
弁護士などに依頼すると相談料、着手金、報酬などの手数料の負担はかかりますが、できればプロに任せるのがおすすめです。

過払い金請求にもデメリットが存在します

過払い金請求を行うと払いすぎたお金を取り戻せるメリットはありますが、過払い金請求を行うデメリットや手続き前の注意点を事前に確認しておきましょう。

完済後10年間で時効となる

過払い金には完済から10年という時効が定められているため、過払い金が発生している可能性があると分かったら早めに手続きを行いましょう。
長期間にわたり借金を返し続けている状態なら時効を気にする必要はありませんが、すでに完済している場合は完済日がいつだったかを必ず確認しましょう。
たとえば2005年12月31日に借入金を完済した場合、過払い金の時効は2015年12月31日までとなるため、これから過払い金を取り戻すことは難しいです。
しかし、完済後に再度同じ業者から借入をして、最後の取引日から10年経過していなければ過払い金を取り戻せる可能性があります。
たとえば2005年12月31日に一度完済をして、2006年6月1日にまた同じ業者から借入し、その後2013年12月31日に再度借入した分が完済したとします。
そうすると最初に完済した日から起算した時効は2015年12月31日ですが、2回目の完済した日から起算した時効は2023年12月31日までとなります。
こういったケースだと、1回目の取引と2回目の取引を一連として過払い金を計算できるのか、1回目の取引と2回目の取引を分断して過払い金を請求することになるのかは裁判所の判断に委ねられます。
一連と見なされれば本来は時効を迎えているはずの1回目の過払い金も引き継がれるため、過払い金が多くなります。
一方、分断と見なされれば時効を迎えた1回目の過払い金は請求できず、時効を迎える前の2回目の取引だけの過払い金を請求することになるので一連のケースよりも金額は少なくなるでしょう。
なお、1回目を完済した後2回目の取引が始まるまでのブランク期間が、1年以上空いているとほぼ確実に分断と見なされます。

事故情報として記録される可能性がある

完済前に過払い金請求を行う場合は、信用情報機関で事故情報として記録されブラックリスト入りしてしまう可能性があります。
金融庁は過払金返還請求の場合には信用情報に登録してはならないということを明確にし、これまで過払金返還請求をしたことによって登録されていた信用情報はすべて削除すべきという方針を出したため、原則は信用情報機関にブラックリストとして登録されることはありません。
しかし、借金が残っている状態で過払い金請求をして、過払い金を相殺してもまだ債務が残った場合には債務整理と同じ扱いになり、信用情報機関で事故情報として登録されてしまいます。
この場合は、最低5年間は新たなクレジットやローンの審査に通過できなくなるデメリットがあります。
また、完済前に過払い金請求をして、債務よりも過払い金のほうが多くがなった場合でも、一時的に信用情報機関でブラックリスト入りするケースがあります。
ただし、過払い金が発生していたことが分かれば、債務を支払い終わった完済状態として信用情報機関に登録してくれてブラックリスト対象者ではなくなるので安心してください。
なお、完済後に過払い金請求をする場合は信用情報機関に事故情報として記録されることはありません。

倒産した業者からは過払い金が取り戻せない

過払い金請求ができるのは原則正常に営業している業者に対してのため、倒産してしまった貸金業者などからは過払い金を取り戻せないので気を付けてください。
ただし、過払い金請求をしたい業者が倒産していても一切返還されないとは限りません。
企業が倒産する場合には民事再生や破産など法的整理の手続きをとるため、その際に債権者に対して配当や一部の債権の支払が行われることになります。
過払い金請求も一種の債権のため、過払い金請求をする消費者は相手業者が民事再生や破産などをした場合に配当などの支払いを受けることができるというわけです。
ただし、配当金額は本来受け取れるはずだった過払い金の数%ほどとかなり少なくなるのが一般的です。
そのため、過払い金を請求する業者が正常に営業しているうちに早めに手続きを行いましょう。

過払い金請求をした貸金業者からは借入できなくなる

過払い金請求をすると相手の貸金業者独自の社内ブラックとして登録される可能性があり、再び借入をすることはできなくなるでしょう。
なぜなら過払い金請求をした消費者は相手の貸金業者にとっては優良な顧客とは見なされないからです。
しかし、過払い金返還請求を行った貸金業者から借入ができなくなるだけで、他の貸金業者や金融機関からの借入は問題なくできるので安心してください。