平成22年4月20日最高裁判決

2010年4月12日

 ≪判決要旨≫

継続的な金銭消費貸借取引に関する基本契約に基づいて金銭の借入れと弁済が繰り返され、
同契約に基づく債務の弁済がその借入金全体に対して行われる場合には、
各借入れの時点における従前の借入金残元本と新たな借入金との合計額が利息制限法1条1項にいう「元本」の額に当たると解するのが相当であり、
同契約における利息の約定は、
その利息が上記の「元本」の額に応じて定まる同項所定の制限を超えるときは、
その超過部分が無効となる。
この場合、従前の借入金残元本の額は、
有効に存在する利息の約定を前提に算定すべきことは明らかであって、
弁済金のうち制限超過部分があるときは、
これを上記基本契約に基づく借入金債務の元本に充当して計算することになる。

そして、上記取引の過程で、
ある借入れがされたことによって従前の借入金残元本と新たな借入金との合計額が
利息制限法1条1項所定の各区分における上限額を超えることになったとき、
すなわち、上記の合計額が10万円未満から10万円以上に、
あるいは100万円未満から100万円以上に増加したときは、
上記取引に適用される制限利率が変更され、
新たな制限を超える利息の約定が無効となるが、
ある借入れの時点で上記の合計額が同項所定の各区分における下限額を下回るに至ったとしても、
いったん無効となった利息の約定が有効になることはなく、
上記取引に適用される制限利率が変更されることはない。

 

 ≪判決内容の考察≫

平成21年(受)第955号不当利得返還請求事件。

まずこの判決の前提として、利息制限法による利率を確認します。
もちろん借入残高とは、利息制限法に引き直し後のものです。

①借入残高が10万円未満の場合
  → 20%までの金利はとってもOK

②借入残高が10万円以上100万円未満の場合
  → 18%までの金利はとってもOK

③借入残高が100万円以上の場合
  → 15%までの金利はとってもOK

これを今回の判決にあてはめます。
最初の借入額は20万円であったため、金利区分は②に該当し、18%ということになります。
この借入額が、返済によりどんどん減っていって、10万円を切りました。
金利区分でいくと、①に該当するため、10万円を切ったときから金利は20%となりそうですが、これはなりません。
判決によると、一度18%以上の金利は無効になっており、これが借入残高の減少によって、
該当金利が20%になったとしても一旦無効になった利息の約定が有効になることはなく、
取引に適用される制限金利が再び上るようなことはないということです。

ただもちろんこれは、借入額の増加によって債務が増加した場合には当てはまりません、
例えば90万円の借入れが110万円になった場合は、18%から15%に当然に引き下がります。

あくまでも「一度無効になった利息の約定が再び有効になることはない」ということですので、
利息制限法の立法趣旨(債務者保護)から考えて、無効部分が更に広がる分には問題はありません。

この判決についても、実務上当たり前にされてきたことを確認するだけの内容に過ぎないものですので、
特に真新しい感じではありません。

 

 

 判決文はこちら → 平成22年4月20日最高裁判決 (PDF)