平成21年9月4日最高裁判決

2010年4月11日

 ≪判決要旨≫

金銭消費貸借の借主が利息制限法1条1項所定の制限を超えて利息の支払を継続し、
その制限超過部分を元本に充当すると過払金が発生した場合において、
貸主が悪意の受益者であるときは、貸主は,民法704条前段の規定に基づき、
過払金発生の時から同条前段所定の利息を支払わなければならない。

このことは、金銭消費貸借が、貸主と借主との間で
継続的に金銭の借入れとその弁済が繰り返される旨の基本契約に基づくものであって、
当該基本契約が過払金が発生した当時他の借入金債務が存在しなければ過払金をその後に発生する新たな借入金債務に充当する旨の合意を含むものであった場合でも、
異なるところはないと解するのが相当である。

 

 ≪判決内容の考察≫

平成21年(受)第1192号不当利得返還請求事件。

過払い金が発生している場合、その過払い金には5%の利息を付加することができます。
この過払い金に対する利息はいつから付加するのか?をハッキリさせた判決です。

下級審判決のほとんども、また今までの最高裁判決も、この判決以前から過払い金に対する利息は、
過払い金発生から付加するものでしたので、それほど真新しい感じのものではありません。


ただ貸金業者側は、過払い金に対する利息は、取引終了時から付加されるべきと主張していました。
平成21年1月22日判決により、過払い金の消滅時効の起算点は取引終了時と判断されたためのこじつけです。


民法上、消滅時効の起算点というのは、通常、その権利を行使できる時から進行します。
その「権利を行使できる時から」ということですが、

たとえば、
AがBに4/1に3ヶ月後に返してくれればいいという条件(期限)で、10万円を貸したとします。
するとBはAに、3ヶ月後の7/1いっぱいまでに返せばよく、Aは7/2まではBに返せと言えません。
返せと権利を主張(権利行使)できるようになるのは、7/2からということになりますので、
AのBに対する貸金返還請求権は、7/2から行使できることとなり、
この時がAのBに対する請求権の消滅時効の起算点となり、消滅時効の進行がスタートします。

これが消滅時効の起算点の考え方ですが、
業者はこれを利用して(故意に)誤った主張をしていました。

 H22年1/22判決により過払い金消滅時効の起算点は取引終了時
                
 取引終了時が消滅時効の起算点ということは、取引終了時が過払い金返還請求権発生時
                
 だから過払い金返還請求権は取引終了時に発生し、それに対する利息も取引終了時から

という3段論法です。


借主たる一般消費者にとって、司法書士や弁護士に債務整理・過払い請求などを依頼し、
業者から取引履歴を取り寄せ、それを引き直してみて初めて、
過払い金返還請求権が発生していることを知るというのがほとんどです。

それまでは「過払い金が発生していること自体を知ることができない」という事実上の障害により、
過払い金の返還請求(権利行使)をすることは不可能であるため、消滅時効は進行しません。
しかし、その間も過払い金自体は発生していますし、
この過払い金に利息が付加されるのは当然であるといえます。

これまでも裁判所自体は、このこじつけをほとんど相手にしていませんでしたが、
今回の判決により、貸金業者もこのような主張をしてくることはなくなりました。

 

 

 判決文はこちら →  平成21年9月4日最高裁判決 (PDF)

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