平成23年12月1日最高裁判決

2012年1月30日

≪判決要旨≫

リボルビング方式の貸付けについて、貸金業者が17条書面として交付する書面に
確定的な返済期間、返済金額等の記載に準ずる記載をしない場合は、
平成17年判決の言渡し日以前であっても、
当該貸金業者が制限超過部分の受領につき貸金業法43条1項の適用があるとの認識を有することに平成19年判決の判示する特段の事情があるということはできず、
当該貸金業者は、法律上の原因がないことを知りながら過払金を取得した者、
すなわち民法704条の「悪意の受益者」であると推定されるものというべきである。
 

 

≪判決の考察≫

悪意の受益者(法律上の原因が無いことを知っていて利得を受けている者)に関する最高裁判決です。
この判決の前提として平成17年12月15日最高裁判決がありますので、
簡単にそちらから解説します。


当時も今も、ほとんどの消費者金融はリボルビング契約による貸付けを行なっています。
上限を決めて、毎月最低限の返済を条件に、借りたり返したりできる契約です。
このリボルビング方式による貸付けの場合、17条書面(貸付けごとに借主に交付すべき書面)に、
「返済期間及び返済回数」及び各回の「返済金額」として、
残元利金についての最低返済額及び経過利息を返済する場合の返済期間、
返済回数及び各回の返済金額を記載しなければみなし弁済は成立しない
と判示しました。

また、これら17条1項所定の事項について確定的な記載が不可能な場合も、
それに準じた事項を記載すべきである旨も判示しております。

この判決の登場をもって、これらの記載の無い17条書面では、
みなし弁済の要件の1つを満たさなくなり、結果、みなし弁済は成立しないことになりました。
と、ここまでが前提。
本当は平成18年1月13日最高裁判決や平成21年7月10日最高裁判決も絡んでくるですが、
ややこしくなりすぎるので割愛します。



さて、今回の平成23年12月1日判決。
上記17条書面に確定的な記載も、これに準ずる記載もしていなかったCFJが相手です。

CFJは平成17年の上記判決が出るまでは、そんなのハッキリしていなかったわけだから、
この判決の言渡し日までの取引については、
悪意(法律上の原因が無いことを知っていて)で過払い利息を受け取っていたわけではなく、
受け取っていたことには平成19年7月13日最高裁判決の判示する「特段の事情」があると言える、
と主張していたわけです。

しかし、最高裁の出した答えは「NO!」でした。
たとえ平成17年判決の言渡し前でも特段の事情があるとは言うことはできない、と。


平成16年9月までのCFJが借主に対して交付していた17条書面には、
次回の最低返済額とその返済期日の記載があるにとどまり、
平成16年10月以降に所定の事項に準ずる記載がされるようになった。

そして、この事案では、平成16年10月以前にすでに過払いの状態にあり、
それ以降にキッチリしていると認められるような17条書面の記載があったとしても、
10月以前に受け取っていた過払金につき悪意である以上、
それ以降に発生した過払金についても悪意であることを否定できないということになります。


なお、同日に同じ第一小法廷においてプロミスに対する最高裁判決も出ており、
プロミスが確定的な返済期間・返済金額等の記載を始めたのは、
平成14年10月と認定。


更にそれから2週間後、平成23年12月15日の最高裁判決において、
アコムが確定的な返済期間・返済金額等の記載を始めたのは、
平成13年11月と認定されました。
これもまた第一小法廷。


これら一連の最高裁判決は、
認定された時期に過払いの状態にあれば
問答無用で悪意の受益者になる
というだけであって、
認定時期に過払い状態でなかったからといって
消費者金融業者が当然に善意であるというわけではありません。

ただ、この点は、これらの判決を逆手にとって争ってくるでしょうな。
現にわかくさの案件でも、アイフルが裁判で主張してきていますしね。

     対CFJの判決文はこちら →  平成23年12月1日最高裁判決.pdf (PDF)