非嫡出子の相続分
2010年7月10日
相続分に関して、判例変更によって新しい判断が出る可能性が高まりました。
今回の判例変更の可能性を説明する前に、相続分についての基礎情報を記載します。
相続が発生した場合、まず最初に相続人と相続財産を特定します。
ほとんどの場合は相続人の間で遺産分割協議をして、相続財産を分けることになりますが、
遺産分割で決められない場合は、民法に定められた法定相続分で分けることになります。
我が国の現在の民法における法定相続分は、
第一順位として、配偶者(1/2)と子(1/2)
第二順位として、配偶者(2/3)直系尊属(1/3)
第三順位として、配偶者(3/4)と兄弟(1/4)
ということになっています。
配偶者は常に相続人となります。
子ども同士・両親同士・兄弟同士では、平等(人数分の1で)に分けることになっているのですが、
これに例外があります。
被相続人(亡くなった方)に第一順位である子も、
第二順位である直系尊属(両親・祖父母・曾祖父母など)もおらず、
第三順位である兄弟が相続人となる場合、
本来であれば各兄弟は同じ割合による相続分を持つはずなのですが、
異母兄弟・異父兄弟つまり半兄弟の場合は全兄弟の半分にされてしまいます。
同じように第一順位である子が相続人となる場合も、平等配分の例外があります。
結婚していない両親を持つ子を非嫡出子(婚外子)といい、
相続分は(婚姻関係にある両親の子である)嫡出子の半分となっております。
そして、ここからが本題です。
非嫡出子の相続分は嫡出子の半分という民法の規定は違憲(憲法に違反する)ではないか、
という争点に対して最高裁は1995年、大法廷において、
「合理的な根拠があり、理由のない差別には当たらない」旨の初めての判断を下しました。
その後も数回、同じ内容の裁判が最高裁小法廷で開かれましたが、
反対意見が常に付くものの、いずれも合憲(違憲ではない)であるとの判断が維持されていました。
今回も同じように小法廷で開かれていたのですが、7/7付で大法廷に移されることになったのです。
大法廷で開かれるものには、その意味があります。
ある争点について、最高裁が初めて判断を下す場合は、大法廷で開かれます。
また、今まで最高裁で出した判例を変更するという場合も、大法廷で行われます。
小法廷は裁判官5人の裁判なのですが、大法廷の場合、
長官を中心に据えた15人全員の裁判官が一列にズラリと並んだド迫力裁判です。
今回の内容については、上記のとおり過去に判断が下されており、裁判例がある状態です。
この状態で、わざわざ大法廷に移されるということは、
判例が変更される可能性が猛烈に高いということを意味します。
当事務所においても、同じ内容の相続をお手伝いする機会がありますが、
「同じ子どもなのに、この変な規定によって相続分が半分になるのは本当に可哀想だ」
という意見が事務所の大半を占めています。
事務所の業務に与える影響はほとんどないかと思いますが、
何より民法は市民にもっとも身近な内容を規定した法律です。
身近な法律は、市民感情にできるだけ合わせていってほしいものです。
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